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スーザン・ボイル 『夢やぶれて』
<初出「Groovin'」2009.11-12/ISSUE#122>


その歌声をもっともっと聴かせてほしい!
第2の人生をシンガーとして歩み始めた1人の女性の物語。


スーザン・ボイル-A
©Ken McKay/Rex Features


 ケリー・クラークソン、エリオット・ヤミン、ポール・ポッツ、コニー・タルボット、…さて、彼らの共通点は?
 そう、いずれも各国のオーディション番組から栄光を手にして、現在、ミュージシャンとして活躍している面々だ。
 その1人に今年イギリスのオーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』第3シーズンから準優勝に輝いたスーザン・ボイルが加わった。
 48歳、スコットランドの教会でボランティアとして働く、ごく普通の女性だった。

 もちろん多くの日本人にとって、そういった番組をリアルタイムで見る機会は多くはないだろうが、動画サイト"YouTube"を通じて、彼女の初登場を体験した人はいるかもしれない。
 その映像は世界中から2億回以上のアクセスがあったという。
 辛口審査委員の失笑が感嘆へと変わり、次第にスーザンの歌声に魅了され、会場がスタンディングオベーションで包まれた瞬間、 スーザン・ボイルの人生もまた劇的に豹変していくことを約束されたのだ。

 少女時代から願い続けてきた歌手デビューという夢を現実のものとした1stアルバムのタイトルには、もはや彼女を象徴すると言っても過言ではないナンバー「夢やぶれて」がついた。
 ミュージカル「レ・ミゼラブル」の挿入歌として、"叶わなかった恋心"が歌われた1曲だが、もしかしたらスーザン自身、何度も夢を諦めそうになった時、この歌を口ずさんでいたのかもしれない。
 そういう風に想像してしまうほど、スーザンの歌は圧倒的な歌唱力とは別に、真に迫る魅力がある。
 それは説得力と言っても良い。

 本作に収録されているローリング・ストーンズのミックとキースの共作によるR&B風ナンバー「ワイルド・ホース」、ジェリー・ロンドンの歌唱で知られるジャズ・スタンダード「クライ・ミー・ア・リヴァー」といった名曲のカヴァーからは、優しく包み込むようなスーザンの歌声が心地よく、歌をうたえる喜び、歌を愛しむ感情が溢れ出ているようでもある。
 一方でマドンナ、1995年のヒット・バラードをカヴァーした「ユール・シー」では、愛情を拒絶する女性の焦燥感や苛立ちまでも表現したりと、曲によって声色や人格までも変わるような歌唱は、単純に"一躍夢を掴んだシンデレラ・ガール"と呼ぶ以上に、"本物の表現者"の風格すら感じた。
 本作のための新曲の1つ、「フー・アイ・ワズ・ボーン・トゥ・ビー」はヨハン・フランションら若い世代のプロデューサー・チームによって制作され、そこでは同時代的なナンバーにもしなやかに順応するスーザンのヴォーカルを堪能できる。
 その他、忌野清志郎の日本語詞でもなじみ深いモンキーズの「デイ・ドリーム・ビリーバー」、クリスマス・シーズンに相応しい「きよしこの夜」やトラディショナルな賛美歌など、多彩なトラックが収録されている。

 これだけ充実の13曲を聴き終えた後にも、私はもっと、もっと、この人の声でたくさんの歌を聴いてみたいと思った。
 今後の活動については、あまりにも遠い先のことは考えない。
 けれど"ベイビー・ステップス(赤ちゃんの歩み)"で進んでいきたい、と語るスーザン・ボイル。
 ようやく陽のあたる場所に現れた遅咲きの歌姫が、残りの人生をかけて、今後どんな歌を聴かせてくれるのか楽しみで仕方がない。

Text by 秦 理絵(Groovin’編集部)



スーザン・ボイル-J『夢やぶれて』 SICP-2485 発売中
イギリスのオーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』で準優勝に輝いた48歳の歌姫、スーザン・ボイルが待望のデビュー・アルバムをリリース。大反響を呼んだ「夢やぶれて」の他、ジャズ/ポップスのカヴァーや気鋭のミュージシャンによるオリジナル曲などを収録。


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【2009/12/01 23:00】 | ISSUE#122 09.11-12 | page top↑
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