<初出「Groovin'」2008.09-10/ISSUE#108>
現存する奇跡の歌姫、ケイティ率いるクイーンアドリーナ。
パンク、ゴス、グランジ、全てを飲み込む彼女らの
真骨頂4thアルバム『ジン』…降臨。
1992年、前身バンドであるデイジー・チェインソーの1stアルバム『イレブンティーン』はとんでもない代物だった。Vo. ケイティのコケティッシュでありながら破壊衝動を纏った強烈なヴォーカルと、クリスピンのジャリジャリと唸るギターが絶品のカオスを生み出して、今まで聴いた事もない様な世界を創出していた。
あれから16年経って、初めて生で観たクイーンアドリーナとしての彼女らのパフォーマンスは衝撃を通り越してショックで、カオスで、あまりにも素晴らしかった。扇動的で、淫靡で、呪術的で、混沌としていて…。あのカオスを説明するには余りにも自分にボキャブラリーが足りない。そう思わせるに足るライヴであった。
今回の新作『ジン』はバンドの4作目となるオリジナル・アルバム(他にデモ集とライヴ盤が出ている)で、前作までを3部作的な意味合いがあるとバンド自身が位置付けていたので、まさに新章の幕開けを飾るアルバムという事になり、当然の如くそれに見合った素晴らしい作品に仕上がっている。
プロデュースにデイジー・チェインソーからの長年の盟友、テオ・ミラーを迎えてロンドンで制作されたこのアルバム。
どこまでもノイジーにその輪郭もぼやける程に歪み倒しているギター・ノイズを撒き散らしながらも、グランジ・フレンドリーなポップ・メロディがその中から立ち上がるという神業の如き構成、モッシュ確実な爆裂チューンからダウナーにどこまでも落ちていきそうな美麗バラードまで多岐に渡る楽曲群、そしてなんと言ってもケイティのヴォーカル。彼女の、時に天女の如き囁きから地をも引き裂く絶叫まで、こんなに表情豊かなヴォーカリストには未だかつてめぐり会った事はない。
クイーンアドリーナの認知度は、その実力に反してまだまだ低い。こんな素晴らしいバンドを知らずに人生終わるのは勿体なさ過ぎる。あのライヴで感じたカオスを封じ込めた奇跡の1枚『ジン』を数多くの人が手に取ってもらえる事を切に願う。
Text by 中野智人(すみや本社 営業グループ)
『ジン』 [プレミア盤]DVD付 TECI-28503 10/発売
今作はほぼ一発録りで録音されたという。インスピレーションを大事にする彼女ららしいエピソードだ。初期のパンキッシュなサウンドが地に足がついた凄味として鳴っている、キャリアがあるからこその貫禄の1枚。祈願、再来日!プレミア盤はライヴ映像等を収録した限定DVD付き、日本盤はボーナス・トラック収録予定。
[通常盤] TECI-28503
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